企業研究者の成果発信方法~特許か論文か(2)
じゃ、前回終わらなかったので企業研究者の成果発信方法ということで2回目ね。
要するに企業ではやっぱ特許が求められるってこと。で、企業が特許という権利を取得できることで何ができるようになってくるのかってことを前回は紹介してきた。
今日は特許制度の簡易紹介の続きと、論文は企業ではどうなのってとこを見ていきたい。
◆前回記事はコチラ↓
https://micromegane.hatenablog.com/entry/2019/03/25/080120
特許制度。
特許って、審査をおねがいするときも、権利化が認められたとしてそれを維持するためにもお金が必要になってくるんだ。
費用は基本料金に、請求項の数に依存した料金が上乗せされた形でかかってくる。
で、年々増額してくる。10年目とかで請求項が10個以上とかあると、数十万円くらい毎年かかってくる。高いよね?
だから何でもかんでも新しい技術でたら特許化するんじゃなくて、特許にする技術、しない技術ってのを取捨選択する必要が企業としてはある。その選択をするのは多くの場合研究開発のトップとかだと思うから現場の研究者はその判断にはあまり関係してこないと思うけど。そういうのを知財戦略っていうんよね。
ちなみ知財部って名前もよく聞いて、実際に技術系の人は入社志望したりすることも多いと思うから一応説明。
知財部は、他社の技術動向とか先行特許調査、他社が自社の特許侵害していないかどうかの調査とかはするけど、会社的にする、しないみたいな判断を直接する部署ではないよ。念のため。経営者の判断材料提供みたいな感じかなって思う。
で、現場の研究者はとにかく特許出せよと上から言われる。特許の数で評価するよ、と。
でもさっきも言ったように特許技術を出願するかどうかは経営的判断も必要になってくるって言った。
でで、こういう会社には発明提案っていう書式が通常必ずある。いきなり特許明細書の形でこれどうすかって上司とかに出すわけじゃなく、より簡潔にどんな技術か、先行研究とはここが違う、ってだけ示したような文章を出すわけ。
上司がコレいいじゃんて思ったら、知財部に送って精査してもらう。先行技術を知財のプロである知財部に調べてもらい、本当に既存のものと違うのかってことを判断してもらうわけね。
つーのも、実はほぼほぼ同じようなやつ先行研究があって、しかも特許化されていた場合に、知らずに特許出願して自社で実施してたりすると、最初に特許出してたとこから訴訟起こされるよ。
損害賠償請求されちゃうよ。やばくね?
もっというと、前回記事で紹介したように、マイナー言語で公開してるかもよ?
特許ではないから損害賠償は請求されないにしても、先行研究ないと思って特許化しようと一生懸命頑張った努力が特許成立後に特許無効審判されるかもよ?
やばくね?
そうならないように、特許の専門家たる知財部員は頑張って調査するわけですやんね。特許は研究型企業の屋台骨なので、特許制度の監視者たる知財部もとても重要な部署だよ。研究開発から移ってくる人、弁理士持ってる人、他社知財部から移ってくる人とか、いろいろいるよ。
研究員も最低限特許明細書は書けるようにならなきゃいけないけど、やっぱ最終的には知財部員におんぶに抱っこだよ。
で、実は特許って、論文より全然出しやすいんだよ。特許を出せるかどうかってことと、それをちゃんと利益を生み出すものにさせることができるかどうかは全く別問題だかんね。
論文って、その点なにか科学的に新しいことが必要じゃんか。
企業では、研究力を売りにしていきたい場合を除いて論文はあまり重視されない。
とくに、基礎研究部門があるとこじゃなきゃ、まず出さないと思ってもいいと思う。
でもって、もっというと論文にも特許にもしないっていう手がある。
それをノウハウっていったりする。
今日はこの辺でね!