アカデミアからの民間企業への就職・転職を考えるときに考えること(4)~上場企業と株式会社
前回はメーカーにおける開発の仕事の説明、基礎研究との違いを説明しました。
その上で、博士の企業での価値などについても言及してきました。
開発と研究が全然違うものだということは、ご理解いただけたでしょうか?研究開発やR&Dというように一括りにされがちですが、求職の際はきっちりと分けて考えなければいけません。
これらをしっかりと理解していないと、基礎研究がやりたくて研究開発職として採用されたのになんでこんな業務ばっかり!と嫌になってしまうかもしれません。中小企業の研究開発職は募集数も比較的多いので、就職に困っているとついつい惹きつけられてしまうかもしれませんが、上記のことを理解した上で選択してください。なお、ベンチャー企業は規模的にいえばもちろん中小企業なのですが、ベンチャーキャピタルや資本に余力のある製薬企業(業界ではファーマと呼びます)から投資を受けていたりして予算が潤沢にあったり(そうでない場合も多いとは思いますが)するので一概にはいえません。上場していれば財務状況は調べられます。
話に出たついでですので、ここで上場企業について解説しておきます。
企業就職するなら知っていても損はない知識かと。
会社が株を発行し、公開された市場でそれを売りに出すことを上場といいます。株とは会社の意思決定に関する議決権のようなもので、それを買うことで株主は経営に参画することが可能となります。同時に、会社側からすると株を買ってもらえたことで発生したお金が得られますので、自社の運営に使用することができます。これが上場による資金調達の仕組みです。
上場企業の株式を取り引きしている市場としてよく耳にするものとして、東証一部、東証二部、JASDAQ、マザーズなどが挙げられるのではないでしょうか。当然、各市場には上場基準などの細かいルールがありますが、以下のようにざっくりと理解しておくだけでも企業情報など見てると「ふふーん」となるかもしれません。
時価総額は、【株式の単価×発行済み株式の総数】で計算される値です。企業の事業価値、市場からの期待度を示す指標ですね。売上高や利益の高さとは必ずしも一致しません。
・東証一部
時価総額250億円以上、株主数2200人以上。いわゆる大企業たちが属する。
トヨタとかホンダとか武田薬品とかアサヒとか、日本を代表する有名企業が含まれる。全部で2100社以上あるらしい。最近のニュースによると、上場基準を厳しくして企業数を減らし、もっとプレミア感を出していきたいみたい。有名だしCMでもよく見ると思うけど、サントリーやロッテ、JTBは実は上場していなかったりする。
・東証二部
時価総額20億円以上、株主数800人以上。一部への上場(指定替え)を目指す中小企業たち。老舗も多い。最近では東芝が二部に降格してきましたね。東芝一社だけ存在がずば抜けており、東芝市場と言われつつあるとか。
・マザーズ
時価総額10億円以上、株主数200人以上。一部への上場(指定替え)を目指すベンチャー企業たち。お笑い芸人の厚切りジェイソンさんが役員も勤めるIT企業テラスカイはもともとマザーズに上場してましたが、昨年末には一部への上場を果たしましたね。
時価総額5億円以上、株主数200人以上。もとは日本初のベンチャー向け上場市場だったらしいが、今ではすっかり老舗が多い印象。マクドナルドとか、セリアと、シダックスとかが上場している。
ちょっとは株式市場について詳しくなれましたか?豆知識程度ですけどね。
自分もまだまだ勉強中です。これから博士号をとって民間企業就職を目指すみなさんは、このブログを通じて一緒に勉強していきましょう。
ちなみに会社に入ると、自社株会(?)っていうのがあったりして、市場から買うより安く株を買ったりできますよ。そういったことも福利厚生の一環なんだとか。
株をもっていると毎年配当っていうのがあって、もっている株数に応じてお金がもらえます(例:1株100円とか)。企業が大きく成長する前に安く株を買っておき、それから企業がどんどん大きくなって株価が上がってくると配当金がいっぱいもらえるようになります。うちの会社は古いので、ベテランの社員さんの中には当時株が安いうちにいっぱい買って持っている人がいたりして、株だけで暮らしていけるくらいお金を貰っている人もいます。うらやましいですね。
今日はこの辺で。
では。