企業研究者とコミュニケーション能力
チームワークとかチームプレーだとか、会社員である研究者にとって必要な能力みたいなことを前回記事で話した。あくまでオレテの考えだけどね。
◆前回記事↓
https://micromegane.hatenablog.com/entry/2019/03/29/075831
今日は、チームワークとかに関係する重要な能力である、コミュニケーション能力については思うところを述べたい。
コミュニケーション能力ってそもそも何?
ウィキペディアによると、コミュニケーション能力とは、他者と意思疎通を上手に図る能力、と定義されている。
意思疎通とはweblio辞書によると、
互いに考えていることを相手に伝えて理解を得ること、らしい。
だいぶほぐれてきたね。
つまりコミュニケーション能力って、他人とお互いに考えていることを伝え合って、理解し合う行為をうまく行える能力みたいだ。
一緒に仕事をする相手が何を考えているかわからないと、そもそも仕事何てできないよね。
例えば、同じ会社には属しているんだけど部署も違って今まで一度もあったことない人(同じような職位で)がいて、トップダウンで急に上司からその人と2人でなんか新規プロジェクト始めろって言われたとする。
そんな時、あんたどないしよる?っつー話だ。
ここでコミュニケーション能力発揮せず他にどこでする?
さっき定義から見てきたように、コミュニケーション能力は相手と理解し合う能力ということだった。
じゃあまず、自己紹介しなきゃね。
自己紹介していくと、きっと自分の専門性とか話すしょ?仕事なんだから話すよね?
それがお互いに理解できたら、プロジェクト開始の切り口とか掴めそうじゃない?
それに、これまでどういう仕事してきたとかってお互いに情報を共有しあったら、役割り分担とか見えてくるかもよ?
そんな一見当たり前そうなことがコミュニケーション能力だと思うよ。
オレテはコミュニケーションを大切にしている。これはオレテこだわりの仕事の進め方だ。
よくコミュニケーションで事故が発生しがちなのが、メールだよね。メールのやりとりって、感情読めなかったりして文面だけじゃちゃんと相手に伝わらなかったりするし、よく誤解も発生しちゃったりする。
就職すると学生のときの105倍くらいメール使うようになると思うけど、本当に苦労が多いよ。そもそも学生だからって許されてることも多いだろうしね。
だからオレテ、可能な限り対面でのコミュニケーションを心がけている。メール送った後とかに、メールにも書いてあるけど、その人の席まで行って改めて背景を説明するとか。
遠方なら、これからこういう事情でこんなメール送りますって電話で伝えるとか。
そうすると相手の受け取り方が100倍くらいマイルドになる。こういうのって結構ビジネスの基本な気がするけど、周り見ていてちゃんとできている人が意外と少ない気がする。(うちの会社の民度が低いせいだったら悲しいけど)
そういった細やかなケアを怠ると、途端に君が送ったメールは炎上して返信されることになる!
お怒りメールの怖さったらないよね。
そうならないようにする能力がコミュニケーションだと思って間違いないと思う。
じゃあそういうコミュニケーション能力ってのは、どうやったら鍛えられるのか、ちょっと思い付く範囲で検討してみたい。
直接話しに行くのが面倒くさい。だからメールで済ましちゃおう。
これがダメね。面倒くさがらず、相手と話しに行こう。それに時間を費やすことで、結果的に後々楽になると考えたらエエんや。これを面倒がってやらんと、後で火消しに時間かかるで。
言わんくてもきっとわかるだろう。
これもダメね。言わんことは分かんないんや。言わんことは決して伝わらないんや。そう思っておけば間違いない。
感謝はきちんと伝えよう。
相手が何か自分にしてくれたとして、ありがたいと思ったけど適当に流してたら、その相手はこの人こんなことしてあげても無駄なんだと思ってしまう。次からしてくれなくなるかもよ?
だからちゃんと感謝しよう。
人の話をちゃんと聞く。聞いて、その上でちゃんと覚えておく。仕事と関係なく、出身地とか住んでる場所とかでも、一度聞いてちゃんと覚えておくと、この人は自分に興味もってくれてんだなってちょっと嬉しくなったりする。
逆に何回も話してんのに覚えてないようだと、呆れられると思う。
そんな細やかな配慮が、コミュニケーション能力なのかと思ったり!
今日はこの辺でな!
企業研究者とチームワーク
企業研究者の日常。今日はチームワークなんたらについて話そうかな。
オレテの超個人的イメージだけど、企業での研究はチームワークでのチームプレー、アカデミアでの研究は研究者個人個人の個人プレーって感じで思っていた。
みんなはどう思ってる?
企業研究者になってみての感想だけど、少なくとも基礎系部門ではかなり個人プレーな感じがしている。
会社としても大企業ではありがちだけど、国内でも複数に研究拠点もあって、それぞれで結構好き勝手やってたり、同じようなテーマを互いに情報共有せずにやってたりする。
もっと酷い例だと、同じ拠点、かつ同じ居室(大部屋)にいても研究チームが違うから同じような機能を持つ機器を重複して持ってたり。
めっちゃ無駄じゃない?なんかその点、大学の方が共通機器みたいな感じで開放されたりしてない?
企業の方がその辺考えられていそうなイメージだったけど、意外にダメだね。
でもそういった無駄を省こうという動きは常にあるよ。研究拠点の統廃合はよくニュースにもなるしね。だから年々良くなってはいってると思う。
製造設備はさ、液物だと輸送もしづらいから工場を複数持つことは事業戦略上重要だと思う。一方で、研究開発拠点を複数持つ意味ってあんのかなぁ?地方大学とかだとその地方のローカル問題解消みたいなテーマで地方財団とかの予算取りにいってたりするイメージはあるけど、大企業が複数研究拠点持ってその地方地方でローカル問題解決する意味ってある?
いや、多分そもそもローカル問題解消の研究はしてないんだけど、じゃあ何で地方に拠点が必要なのかなって思って。
その地方の大学と共同研究をもともとやってて、その側に企業側の施設を作ってそれが研究拠点となっているっていう例はたまに聞く。
土地代が安いってのもあるけど、それは地方に一つ中央研究所持てば良いだけで、複数持つ意味にはならんしね。
話が大幅に逸れたけど、
チームワークは企業研究者はしっかりやってんのって話。
例えばだけど(どこの会社というわけじゃなく)、「白血病の治療薬作る」っていう至上命題を持った研究チームがあるなら、そこでは研究者個人個人が具体的にどういう研究してくか明確な役割り分担があってチームワークで研究すると思う。それは、具体的な製品っていうわかりやすいテーマがあるからだろうな。
けど、何でもいいから技術開発みたいな部署だと、まとまりないよね。
うちの会社でも製品ありき系の部署は、内容は開発じゃなく基礎であっても、まとまりある感じがある。その一方で、新規技術開発みたいな一見かっこよく感じる部署は外から見ててカオスだよ。
やっぱり会社入って企業研究者としてやって行くなら、チームワーク研究を遂行していける能力を高める方が大事だと思う。
カオスなチームでカオスにならないようにできる人は、アカデミアでも一流な研究者だけだと思う。企業選ぶグレードの研究者は明確な目標持ったチームに入れるように努力しよう。希望しよう。新卒でカオス研究チームに入ったら企業廃人コースだよ。
廃人みたいな人は何人か知ってるよ。こんな例は実はうちの会社だけだったらウケる。
そうならんよう自分の身は自分で守るのみ。
会社望む人に必ず重視して欲しいこと
会社員スキルを高めることだ。
研究者とはいっても所詮会社員。社外の人からすると会社員として見られるんだよ。そこへきてアカデミアみたいな変人オーラ醸してるようだと話に付き合ってもくれないかもよ。
普通な人であること、常識を持っていること、ビジネスマナーがあること、人の話をちゃんと相手の目を見ながら聞けること、お礼をきちんと言えることそんな実は基本的なことが会社員スキルだったりする。
で、要するにチームプレーする職場なら、研究者という肩書きであっても社会人スキルはちゃんと身についていくから大丈夫。
今学生の人はチームプレーとかあまりしないかもしれないけど、共同研究に首突っ込んでみるとかして、関係者が多い研究テーマに関わる道を模索してみたら良い。オレテは学生のとき共同研究に浸りすぎて、教官から業務量コントロールするよう指示受けたレベル。会社じゃないのに。そうやってきた背景があったから、就職のときにはチームワークをアピールしたよ。
今日はこの辺でな~
企業研究者は忙しい?残業多い?
今日は、誰しも気になる!気になる!な毎日の残業の有無とか、忙しさについて話してみたい。
ぶっちゃけ、全然忙しくないよ。
っていうと怒られそう。
転職して来て何年か経つけど、業務量はごくごく適正なレベル。
というか、自分でコントロールできるから結果として適正なレベルになっている。
研究者って言われたことやる系じゃないでしょ?
一般論として、
どんな会社でも入社したては仕事も少なく暇だと思う。仕事をちゃんと覚えることで大変ではあるけども。
で、オレテは入社して数年経って仕事はもちろんちゃんと覚えたさ。
研究業務は勉強してもキリがないけど、社内の雑務的なものはルールとかちゃんと覚えるとどんどん処理速度が向上するよね。
でもそういう雑務処理能力が高すぎると、どんどん雑務を任せられるようになってしまう危険性があるから注意して欲しい。
だから、そういう能力はアピールしない方が無難。
若い人とかは自分の有能さアピールしたがるから、もうできましたよ感を何でもかんでも出してきたりする(ことも多い)。
でもちょっとまって欲しい。できましたよ感のアピールは、実験結果だけにしておこう。
上司から頼まれた雑務は期限ギリギリで、ようやくできましたよ感でするのがベストだ。
雑用はできて当たり前で、早くても悲しいことにあまり評価されない。事務系は別だと思うよ。あくまでも企業の研究職ってことで話してるからね。
研究者なら、仕事のアピールはあくまでも研究成果でアピールしよう。雑用アピールばかりしてると、雑用が好きで、かつ適性があるのかと思われちゃうよ。
そんなこと望む?
望むならどんどやったら良いよ。いっそのこと研究者やめたら?
まあそういうわけだ。人事権のある上司は部下の仕事振りをしっかりと観察している。研究やりたい人はいっぱいいる。逆に、雑用ポジションは誰も望まずスカスカかもしれない。そんな時に雑用能力長けた部下がいると知ると、雑用ポジション配置転換されるかもしれんよ。
企業研究者なんて、いつ研究できなくなる日が来るかわからんよ。それは覚悟して企業研究者という道を選択して欲しい。
望まぬ人事にも承服することと引き換えに安定を保証されていると思った方がいい。
大学でちゃんとパーマネントな教員になれたらそういう心配はやっぱりないでしょうな。教員は一生涯教員でしょ。事務に異動とかありえんしょ?
同じアカデミアでも、国立研究所(独法、研究開発法人含む)微妙に違うかも。知り合いでも、よく本省出向とか聞くし。あと、管理系部門への異動とか。
とはいっても、企業よりは研究者の意向が尊重されるかもしれないけど。
企業ではやっぱ研究者とかいっても会社からしたらただの一社員なわけで。
一社員なら適材適所に配置して会社利益の最大効率を目指すのが常なわけだからね。
で、業務量の話。
繰り返しになるけど、研究者は自己裁量が多いかな。だから、会社全体で見てもかなりホワイトな部門なんじゃないかな。自分で自分を追い込んで忙しくすることもできるし、とことん仕事作らず暇にしててもいいだろうし。でも実験結果ろくに出てないといずれさぼっていることばれるから気を付けて。
とはいっても、最低限の活動量で結果を盛ってみせる(偽造ではなく、考察を膨らますとかね)ことができるのも研究者ならでは。社内ニート目指すなら企業研究者というのは最適なポジションのひとつなのかもしれない。
ちなみ、営業とか、カスタマーサービスとかはお客さんと直にやりとりするから時間も際限なく自分の裁量少なくかなり大変と聞くけど。
通常、研究者が属する企業の基礎研究部門は、商品の流れでいうと最上流だから、お客さんは一切関わらない。
開発部門になってくると、顧客対応は入ってきて、いついつまでに結果出して報告みたいなことが求められたりするから大変っぽい。あと会社方針で、いついつまでに商品化するってのがあるとそれもリミットになってくるよね。
今日はこんなもんじゃろ!
企業研究者の成果発信方法~特許か論文か(3)
前回までの2回で、特許に関して紹介してきた。
特許の紹介はこのへんまでにしておいて、今日はノウハウとして秘匿するケースについて話してみたい。
◆前回記事はコチラ↓
https://micromegane.hatenablog.com/entry/2019/03/26/083349
ノウハウとして秘匿するケース、実際にはよくあるようだよ。
特許化にはそもそも適さない技術ってのがある。
製造方法の特許だ。
これこれこういう物質を、こういう比率で混ぜて、こんな温度で一定時間反応させると化合物Aを作ることができるっていう感じの特許のことだ。この特許を押さえると、特許で指定した方法では化合物Aを作ることができなくなる。
で、もう一つ特許のパターンとして、物の特許っていうのがある。
さっきの化合物Aは、油汚れを驚異的に除去できる新規な界面活性剤だとしよう。
その界面活性剤Aそのものに特許権をつけることもできる。この権利が認められると、誰も発明者の許諾なしにAを扱うことができなくなる。こっそり作ることはできるかもしれないけど、商用利用は一切できない。
製造方法の特許では、Aという物質そのものの権利は主張し出来ず、ある一定の作法のみが保護の対象となるだけだ。新しい作り方が開発されると陳腐化するし、そもそもこっそり作られて売られても、どうやって作ってるか開示されない限り訴えることも難しい。
こういうことから、製造方法の特許は弱い権利と呼ばれる。
一方で、物の特許は強いと。
で、前振りが長くなったけど、新規開発した技術が製造方法みたいな場合には、特許として公開したりするよりもノウハウ秘匿の方が好ましいケースが多い。
その場合、社内に一定の書式があったりして、詳細に技術内容記入して、関係者間で守秘義務とかしっかり確認して眠らせたりするみたい。
こうやって、ある技術を公開することなく社内に蓄えることが、ノウハウの秘匿ってこと。
コカコーラの製法って、秘匿されてるって有名な話があるでしょ。それがノウハウだよね。
公開しちゃうとなんだ簡単じゃんって皆真似できちゃうけど、公開しない限り誰も到達できないようなコツがある場合に有効な手段だ。
きっとコカコーラだって、よく似たものは作れるけど、類似品を超えてコカコーラに達するために必要な超特殊な一手間があって、それが誰も思いつかないだろうという自信があるから特許化されていないんだと思う。成分分析じゃわかんない何かがあるんだろうね。
で、反対に車とかは、必ず特許化される。一台の車に数十から数百の特許がとられてがちがちに権利化しているらしい。分解したらわかっちゃうからだろうね。
まあ車はそもそも10年も商品寿命ないだろうし、特許化ってのがふさわしいんだろうな。コカコーラなんて、人類が続く限り商用寿命は無限でしょ?きっと。
だったらたかが20年程度で切れちゃう特許権なんて、出すだけ無駄だよね。
で、ノウハウってのはこのへんにしておくけど、単に公開するのがどんな場合が考えられるか考えてみよう。
ある技術を特許化する以外の手段で公開することのメリットは、他社がその技術で特許を取得することを防ぐことができるからだ。
そうすると、自社で特許として保護しておく必要性まではないけど、この技術を他社の特許として押さえられると事業を行う上でちょっと厄介だ、みたいなときの対策になる。
その公開に手段は、社内報のようにアクセス権者が限定されていなければ何でも良いって話は前にした。
以上、3回に渡って企業研究者の成果発信方法を見てきたけど、なんとなく伝わっただろうか。
まず若手研究者は特許を出すスキルを学ぶことが大事だと思う。特許に関して理解が進むと、特許ってのは本当に何でも取れるんだなってことがわかってくる。
まずはその域に達することが第一段階かな。そしたら発明提案をどんどん出したら良い。その中から、事業戦略的に意味がありそうな技術があるってなったら特許を出させてもらえると思う。その過程で、明細書の書き方を学んでいくと良いのかなと思ってる次第だよ。
今日はこの辺でな!
企業研究者の成果発信方法~特許か論文か(2)
じゃ、前回終わらなかったので企業研究者の成果発信方法ということで2回目ね。
要するに企業ではやっぱ特許が求められるってこと。で、企業が特許という権利を取得できることで何ができるようになってくるのかってことを前回は紹介してきた。
今日は特許制度の簡易紹介の続きと、論文は企業ではどうなのってとこを見ていきたい。
◆前回記事はコチラ↓
https://micromegane.hatenablog.com/entry/2019/03/25/080120
特許制度。
特許って、審査をおねがいするときも、権利化が認められたとしてそれを維持するためにもお金が必要になってくるんだ。
費用は基本料金に、請求項の数に依存した料金が上乗せされた形でかかってくる。
で、年々増額してくる。10年目とかで請求項が10個以上とかあると、数十万円くらい毎年かかってくる。高いよね?
だから何でもかんでも新しい技術でたら特許化するんじゃなくて、特許にする技術、しない技術ってのを取捨選択する必要が企業としてはある。その選択をするのは多くの場合研究開発のトップとかだと思うから現場の研究者はその判断にはあまり関係してこないと思うけど。そういうのを知財戦略っていうんよね。
ちなみ知財部って名前もよく聞いて、実際に技術系の人は入社志望したりすることも多いと思うから一応説明。
知財部は、他社の技術動向とか先行特許調査、他社が自社の特許侵害していないかどうかの調査とかはするけど、会社的にする、しないみたいな判断を直接する部署ではないよ。念のため。経営者の判断材料提供みたいな感じかなって思う。
で、現場の研究者はとにかく特許出せよと上から言われる。特許の数で評価するよ、と。
でもさっきも言ったように特許技術を出願するかどうかは経営的判断も必要になってくるって言った。
でで、こういう会社には発明提案っていう書式が通常必ずある。いきなり特許明細書の形でこれどうすかって上司とかに出すわけじゃなく、より簡潔にどんな技術か、先行研究とはここが違う、ってだけ示したような文章を出すわけ。
上司がコレいいじゃんて思ったら、知財部に送って精査してもらう。先行技術を知財のプロである知財部に調べてもらい、本当に既存のものと違うのかってことを判断してもらうわけね。
つーのも、実はほぼほぼ同じようなやつ先行研究があって、しかも特許化されていた場合に、知らずに特許出願して自社で実施してたりすると、最初に特許出してたとこから訴訟起こされるよ。
損害賠償請求されちゃうよ。やばくね?
もっというと、前回記事で紹介したように、マイナー言語で公開してるかもよ?
特許ではないから損害賠償は請求されないにしても、先行研究ないと思って特許化しようと一生懸命頑張った努力が特許成立後に特許無効審判されるかもよ?
やばくね?
そうならないように、特許の専門家たる知財部員は頑張って調査するわけですやんね。特許は研究型企業の屋台骨なので、特許制度の監視者たる知財部もとても重要な部署だよ。研究開発から移ってくる人、弁理士持ってる人、他社知財部から移ってくる人とか、いろいろいるよ。
研究員も最低限特許明細書は書けるようにならなきゃいけないけど、やっぱ最終的には知財部員におんぶに抱っこだよ。
で、実は特許って、論文より全然出しやすいんだよ。特許を出せるかどうかってことと、それをちゃんと利益を生み出すものにさせることができるかどうかは全く別問題だかんね。
論文って、その点なにか科学的に新しいことが必要じゃんか。
企業では、研究力を売りにしていきたい場合を除いて論文はあまり重視されない。
とくに、基礎研究部門があるとこじゃなきゃ、まず出さないと思ってもいいと思う。
でもって、もっというと論文にも特許にもしないっていう手がある。
それをノウハウっていったりする。
今日はこの辺でね!
企業研究者の成果発信方法~特許か論文か(1)
さて今日は何について話そうか。
今日考えているのは、研究成果発信の方法だで。
どういう形の成果発信が企業研究者として求められるのか、その辺をオレテの実感を踏まえて議論してみたい。
あ、ちなみにオレテというのは俺ってっていうのが口癖だから略して一人称をオレテにしてみた次第だわ。以後よろしゅう。
まじ関西弁憧れる。オレテいいます、よろしゅう!とかって自己紹介で堂々と言ってみたい。関西弁ネイティブじゃないから絶対言えんけど。方言って個性だよね。個性は大切にしていきたい。
前の職場の同僚で、「仕事のときは関西弁封印してるんですよ~」って言ってた人いたけど、個人的にはどんどん関西弁使って欲しかった。だって別に方言が悪いわけじゃなくない?ビジネス現場では標準語喋るべしみたいな経団連の指針でもあるわけ?ないなら各自方言使って欲しい。
オレテも方言使いたいし、ちょくちょく気付かれんよう挟んでたりするよ。まじだよ。で、気付かれたら嬉しかったりする。通じるか通じないかギリギリな線選んで方言の言葉チョイスしてるかんね。絶対通じなさそうなのは初めから使わないようにしてる。
つー意味では、自分も方言封印しちゃってるかも。通じないのは嫌だしね。説明追加ですんのも面倒だし。何の話だっけ?ああ成果ね。
成果発表は、まず特許だよね。会社だし。
アカデミアにいると特許のこと全く知らん場合もあるから簡単に説明しとくで。
特許って方法の特許とか物の特許とか、ビジネスモデルの特許とか、いくつか類型があるんだけど、要するにある技術や概念に関して特許という名の権利が認められると、その行為を独占して実施することができるようになるってのが特許だよ。
独占して実施できると何が良いかって、例えばPCRの酵素として使える耐熱性ポリメラーゼが初めて発見された時に、「耐熱性ポリメラーゼの製造方法および該耐熱性ポリメラーゼに関する特許」ってのが成立すると、発明者の許諾なしには、発明者以外誰もそれを作ったり使用したりすることができなくなるわけや。
で、「ライセンス許諾」ってのがあって、例えば発明者に年間10億円払えば製造許可出しちゃるよって契約を発明者は耐熱性ポリメラーゼを作りたい人にふっかけることができる。そうやって得る収入をライセンスフィーと言う。
要するに、特許によって不労所得が得られるわけだね。まあそんな契約そもそもしなくても、その製品がめちゃくちゃ需要あるなら、自分とこだけでガンガン製造して売るってのが王道パターンではあるけど。(製造設備もある企業なら。アカデミアなら必然的にライセンス化なのかな)
で、特許には期限があって、通常20年で切れる。以降、独占実施権はなくなる。
でで、特許ってのは発明の詳細を全て公開することになるから、特許の期限切れ以降は他社に真似されし放題となる。
それが特許のメリットでもありデメリットでもある。だから特許っていうのは何でもかんでも申請すればいいわけじゃなく、ある程度出願すべきべきもの、そうじゃないものを分別検討する必要がある。
その時の指標の一つとして、誰がかいつか閃きそうかどうかっていうのがある。誰かいつかやりそうだよね、ってやつは押さえとく必要がある。
あるいは出願だけして権利化しないっていう手もあって、出願書類だけ出して審査請求しないと自動的にそういう形になる。そうすると、少なくと他社に独占実施されることはなくなる。
で、発明者としてはその分野で利益得るつもりはないけど、利益得ようと思ってる分野で基本技術として被ってくるから特許化されると困る時みたいな場合にこういう手使う。
でで、公開された技術ってのはもう誰も特許とれないんだけど、その公開方法は特許出願に限定されない。論文でも良い。国内雑誌とかにも全く限らない。
いやらしい手段として、日本語ではもちろんなく、さらに英語でもないような国の、さらにさらにマイナーな雑誌とかに公開する方法ってのがある。公開っていうことの基準が、アクセスが誰にでも、望めば可能であることっていうくらいの基準だからだ。他国のマイナー雑誌だって、金払えば買えるよね?
その点、社内報みたいなのは公開じゃないよね。社員じゃなきゃ見れんから。で、こっそりでも公開しとくと誰も特許は取れなくなる。
(長くなったので続く)
バイオ系企業研究者の日常~物を買うときは?大変?簡単?
今日も企業研究員の日常シリーズをお届けするで。参考なっとる?なってない?
どっちでもええけど、今日は物を買うときの手続きについて紹介しようかな思うとる。
企業とアカデミアでは、物を買うときのプロセスがかなり違うと感じている。
ただアカデミアでの厳密なルールはワシは把握しとらん。なぜならアカデミアで勤めたことはないからや。博士課程の学生として見てきた実感や、教官から聞いてた程度の知識しかあらへん。そこんとこは踏まえた上で読んでくれ。
アカデミアでは、教員が直接業者に見積できるんとちゃう?教員だけやなく、学生でも取れるいうてた別の大学の知り合いもおる。まあ、見積ってそれ自体は大したことないかんね。単に、実際に提供可能なお値段を教えてもらうだけやさかい。
わいの場合は、型番とか発注に必要な情報を指導教員に教えて、指導教員が見積と発注対応してくれとった。
問題は教員が、とか学生が、とかってことじゃ実はなくて、買いたいって思った人と見積-発注する人が同じやってことや。こういう構造が不正の温床になっとる(なりやすい)。
買いたい人が直接業者とやりとり出来る構造だと、価格操作がいくらでも、バレずにできちゃうんだよね。お金の出所は外部資金か運営費交付金だとして、お金を不正に得たいと考えてるんが教員やとする。業者にしてみると、その教員いうんはお得意さんやから言うこと断れんし、バレない限り実害ないしむしろ利益も得られたりする。
仕組みはこうや。
1)先生が見積依頼
2)業者が見積書出す
3)その見積で先生発注
4)業者納品
実際には頼んでいない品を納品させたことにして、お金だけ支払う
支払われたお金を先生に返す
これで外部資金や運営費交付金が先生の懐に収められることになる。どや?
実際にはもっと色々パターンがあると思うけど、かいつまむとこういう仕組みで不正を行うことが制度上可能で、構造的理由によそれを防ぐ手立てが難しいらしい。
で、そうした不正の防止を目的として企業でよく導入されている制度は、購買の三権分立や。
・発注依頼者
・発注申請者
・検収担当者
がそれぞれ2つ以上の独立した部署で行われるべきいう考えや。
これが全てひとりないし1部署でできることで不正が生じやすいいうことや。
発注依頼者いうんは、例えば「あのメーカーの制限酵素欲しい」いうやつや。
発注申請者は、そいつの要望受けて代理店に見積依頼して、そんで返ってきた見積価格で発注依頼者が買ういうたら発注申請(売買契約)までするんや。
検収いうんは確認や。見積-発注したもんが間違いなく届いたか確認する作業ね。これは発注依頼者でも発注申請者でも多分どっちでもいいはず。金額に関する不正はこの段階ではもうないからね。
で、そもそも発注依頼者は業者と直接やり取りしたらアカンねん。お金の話をこっそりすることもできひんわけやないしな。
そういった機能の分化で不正が起こるんを防ぐわけや。どこの会社でも採用されている制度なのかは知らん。でも前の会社ではこういうんはなかったで。誰でも見積とれて誰でも発注できたで。発注のときは上司の印鑑は必要やけど。
今の会社は上場企業やき、不正防止に腐心しているとも思う。というか上場企業ならどこも何らかの対策講じて不正防止してるはず。不正発覚したら企業へのダメージでかいかんね。投資家から見放されたら何もできんくなるんが上場企業や。
あ、もちろん株式会社っていう以上非上場でも投資家はおんねんで。
でも社長や親族や、設立に関わった企業とかで身内的なもんだったりすることも多いらしいで。
そんな感じで今日はあんまり楽しい話じゃなかったかもだけど、要するに企業で物(機器でも、少額な消耗品であっても)買おおもたら若干大変なプロセスいうんがあるわけや。
今日はこの辺でナ!