【進路に悩める博士学生・ポスドクたち向け】研究支援職ってどーよ?≪前篇≫
前回の記事で、博士課程に進学した僕が、アカデミアで研究者(ポスドク)をするのではなく民間企業へ就職をすることに決断した理由を紹介した。
さらに、就職を決めた職種というのが、割と皆がなりたがる(であろう)「研究職」ではなくて「研究支援職」というものだったことも話した。
◆企業就職へ至った経緯に関する記事
https://micromegane.hatenablog.com/entry/2019/03/04/110911
今回は、「研究支援職」がどんなものか、何をする仕事なのかっていうのを中心に話してみたいと思う。
研究支援職は、研究者のお手伝いをする仕事だ。
研究者がする仕事として、
(1)研究計画を練る
(2)予算をとりにいく
(3)実験をしてデータを出す
(4)データを解釈する
(5)論文等の形にまとめる
(6)論文等を発表する
といった内容が考えられる。
今現在学生の人だって、上記分類は想像するに難くないだろう。
研究支援って言っても実は色んな分野での支援があり、分業化されている。
例を出しながら考えてみよう。
(1)研究計画を練る
ここはある意味研究の肝だ。これくらい、その研究をする研究者個人(もしくはそのラボで)で決めるだろうと思うかもしれない。もちろん、そういうケースも多々あるし、アカデミアではむしろそういうケースしかないかもしれない。でもこれ、企業だとかなり外部のリソースを活用したりする。
コンサルティングのその良い例だ。彼らは調査・分析を専門とするので、これから技術開発を通じて新規ビジネスに挑戦しようとする企業は、リスク回避・利益最適化のために市場動向をコンサルタントを通じて事前に把握しようとすることがある。選考技術の特許調査を特許事務所(大企業なら知財部を社内に保有しているケースが多いが)に依頼することもその例だと思う。でもまあコンサルタントや特許事務所の職員が研究支援職と呼ばれることはないけどね。
ともかく、少なくとも企業においては「研究計画を練る」段階でも研究支援っていうのはよくあり得ることだったりする。
(2)予算をとりにいく
予算を取りに行く方法って、科研費とかへ予算申請書を出すことかな?
だとすると、(1)とオーバーラップしている部分が多い気がする。
研究計画あっての予算申請なので。これそのものの支援職はあまりないかも。
企業の場合でも、コンサルとかから得た情報をもとに社内文書作って決裁権者の許可を取りに行くという感じかな。
(3)実験をしてデータを出す
一番イメージつくんはここでしょ。大学でもよくいるでしょ?テクニシャンの人。
一番わかりやすい研究支援のポジションってテクニシャンだよね。
テクニシャンは、研究者からの指示を受けて実験を実行したり、片づけしたり、物品整理したりする人。年次の低い学生からすると、実験を教えてくれる人でもあるかもしれない。
実際に「研究支援」みたいなポジションを求人サイト等で検索すると、出てくる職種はほぼこれにつきると思う。
(4)データを解釈する
研究者自身、もしくはテクニシャンが出してくれた実験結果の生データを様々な形に加工して、解析する。そして、そのデータの中に含まれている科学的意義を読み取る。研究の醍醐味的パートな気もする。毎日実験室にきて昨日しかけた実験の結果をみるワクワクとも共通性があるだろう。そのワクワクを一度でも感じたことのない人はきっと研究職でも支援職でも志望しないと思うから、このサイトは見てないでしょう。
そうそう、データの加工、一次的な解析ってことなら、他の人が担うこともある。「研究受託」ってやつだ。タカラバイオがよくやってたりするイメージ。受託解析のようなビジネスも、研究支援に含まれる。
(5)論文等の形にまとめる
これはさすがに研究者自身、ないしはその上位研究者がやる仕事だと思われるかもしれない。が、一度でも査読あり英語原著論文出したことある人ならわかると思うけど、論文執筆という分野に関しても様々な形でのサービスがあり、支援を受けることができる。
多くの人が頼るであろう英文校閲と、論文作成執筆代行サービスがこれに該当する。(他にもパターンがあったら教えて下さい)
英文校閲は、研究者自身で書き上げた英語の原稿を提出して、それをネイティブに見てもらって文法上の誤り、意味は通じるけどこんな表現しない(コロケーションの問題とか)とかって事項を確認の上、修正してくれるサービス。
論文執筆代行は、データと要旨(何を主張したいのか)を渡すだけで、やりとりは発生するものの論文原稿を仕上げてくれるというサービスのようだけど、使ったことないので詳細不明。
長くなってしまったので、続きはまた次回。
今日はこの辺で!