博士の日記

医薬系民間企業の研究員を経て、外資系企業でマーケティング職をやっているバイオ系博士が日々を語ります。

【進路に悩める博士学生・ポスドクたち向け】研究支援職ってどーよ?≪後篇≫~ラボマネジャーについて

これまで2回に渡って、研究支援職のあらましを紹介してきた。

 

◆前々回記事:研究支援職ってどーよ?≪前篇≫はこちらから。

https://micromegane.hatenablog.com/entry/2019/03/05/081643

 

◆前回記事:研究支援職ってどーよ?≪中篇≫はこちらから。

https://micromegane.hatenablog.com/entry/2019/03/06/075941

 

上記各記事では、「研究」という業を以下の要素過程に分け、各過程に関与する支援職をみてきた。

(1)研究計画を練る

(2)予算をとりにいく

(3)実験をしてデータを出す

(4)データを解釈する

(5)論文等の形にまとめる

(6)論文等を発表する

 

じゃあ僕は一体どんな支援職をしていたのか?これまで敢えて触れずに記事を書いてきた。

 

僕は、「ラボマネジャー(マネージャー)」という仕事をしていた。

このポジション、アメリカなんかだと有名らしい。日本生化学会の記事(2015年9月)に紹介もされている(http://www.jbsoc.or.jp/letter-archive-nakanishi/2015-09.html)。

 

この記事中の文章をそのまま引用する。

「ラボマネジャーは、研究室(所)がうまく機能するために、室員のスケジュール管理・研究室の安全性の確保・研究のための機器や材料の管理・予算の管理・ラボヘッドと研究員との関係調整、などの業務を担当する」

 

ラボマネジャーの仕事を正式に定義すると、こうなるようだ。

 

次は、僕が実際にやっていた業務をベースにこれを再定義してみたい。

「ラボマネジャーは、研究室(所)がうまく機能するために、研究室の安全性の確保・研究のための機器や材料の管理をするとともに、テクニシャンを指揮しながら、ラボヘッドが指示する実験を遂行する。」

となる。要するに、化学物質や実験機器、消耗品、その他施設の管理に加えて実験もするって感じだ。

結構この仕事は好きだった。研究室や研究所によって、「ラボマネジャー」という職種に求めることは違があると思う。ただ、ポスドク等のポジションが一人でもくもくと作業する系だとすると、ラボマネジャーは人とコミュニケーションをとりながら、チームでの活動を円滑に回しながら研究室全体としての成果創出に貢献するっていう感じだと思う。

人とコミュニケーションをとるのが好きっていう人にはおすすめ!

 

僕がどうやってこの仕事と出会ったかっていうと、同じ研究室だった先輩から「こういう仕事の募集があるけどどうか」って教えてもらったからだ。

博士課程修了の目途がたったころ、僕は民間企業への就職をすることに決意した。

その理由は以前に紹介した。

◆企業就職しようと思った理由の記事

https://micromegane.hatenablog.com/entry/2019/03/04/110911

 

もともと、学生の頃から実験室の機器の整備や消耗品の管理、安全点検みたいなことが何故か好きだった(実験も好きだったけど、こういった雑用的な管理業務も熱心に取り組むことにやりがいを感じていた)。

共同研究先とやりとりしながら、他人の試料を分析するということも好きだったし、共同研究先の先生が派遣してくる学生を受け入れて一から指導したりするのも好きだった。

そういった感じで、

・管理系業務が好きって

・人とコミュニケーションしながら仕事するのが好き

ていう2つの「好き」を同時に満たせそうな仕事がラボマネジャーだった。

 

さて、ラボマネジャーという仕事だけど、上記(1)~(6)の分類でいうとどこと関係してくるのか?

きっとそれには明確な答えは無く。さっきもいったようにラボマネジャーに求める仕事内容は募集先によって大きくことなるからだ。ただ僕のケースでいわせてもらうと、この分類のどれにも絡んでいた。

研究者が「こういう新規プロジェクトを始めようと思っている」って言って相談されて必要な実験項目検討したり材料調達とかするし、もちろん実験してデータ出しもその解析と解釈もする。論文の図表作成したり、文章のクリティカルリーディングしたり。本当に何でもしてた。

 

数年この仕事をした後、僕は転職した。今は研究職に就いているわけだけど、何で転職したのかっていうことを次は紹介したい。

 

今日はこの辺で!