博士の日記

医薬系民間企業の研究員を経て、外資系企業でマーケティング職をやっているバイオ系博士が日々を語ります。

ラボマネジャーをやめて民間企業の研究者に転職した話

前回は、僕が博士号を取得して最初になった職業、ラボマネジャーについて紹介した。

今回は、ラボマネジャーをやめて転職を決意した理由を紹介したい。

 

◆前回記事:ラボマネジャーについて。

https://micromegane.hatenablog.com/entry/2019/03/07/144257

 

前回記事でも書きましたが、この仕事を僕は決して嫌いなわけではなかった。むしろ、けっこう好きだった。

博士課程を修了して始めに得たポジションでもあるし、企業で正社員で任期なんてのもなかったし。

給料はそこそこだったけど、福利厚生は良かった(社宅補助が金額大きくて助かった)。

残業もあんまりなかったし、日々の業務は自分の裁量でできることが多かったし。

上司とはあんまり合わないこともあったけど。

でも、ずっとここにいることはできないと、入社1年目くらいから思い始めてきた。

 

なぜか?

 

一番大きな理由は、ずっとラボマネでいいの?って自問自答が自分のなかでエンドレスリピートされていたからだ。

僕の配属された研究室にはラボマネがすでに一人いて、僕はその増員という形で雇われたんだ。

ラボ運営や実験のサポートは学ぶことも多く大変ではあるものの楽しかった。研究者のサポートはするけど、社内評価としてはいかにサポートできているかという過程が重要で、その研究者がどういう成果を出せたかということまではフォローしない。だってラボマネなんでね。そっちは研究者の仕事評価のクライテリアだもん。

こういう業務だよっていう定型があったから、自分で工夫したりするところはあんまりなかった。

 

で、研究者。

この言葉、マジカルワード。博士号とったのに研究者になっていない自分がいることがなんかくやしくなってしまって。研究者にやっぱなりたいなぁって、入社すぐの段階に思い始めた。

博士号とったからといって研究者になる必要はない。それはみんなよくいうし、多分既に常識化しているから研究者にならないからといって周囲の目を気にする必要はない。

でも自分の目は?ってこと。

 

本当に研究者にこだわりないならいいよ。「科学技術に関する高度なトレーニングを受けた者」の証として博士号を使って、研究者以外の道で立身出世を計画しているなら全然いいさ。実際僕もそうやって博士号を活用していこうって思ってたし。(はじめに博士進学決めたときは研究者になりたかったわけだけど)

研究者以外の道を選択するとき、本当に自分自身に聞いてみて欲しい。僕ももちろん聞いてみたけど、10回くらいじゃ本音を聞き出せんかったよ。

多分1000回目くらいにようやく本音いってくれるんじゃないかな?

自分って、自分で思っている以上に分かり合えない存在だよ。少なくとも僕の中の自分はもう宇宙人みたいな感じ。まるで分かり合っていないに等しかった。

 

そうこうしているうちに、「研究者になりたいよ!」っていう自分が僕の中で優勢を占めてきた。「あれ?ラボマネはどうすんの?」って僕の中の自分たちが言い合いのけんかを始めた。仕事でなんか作業しているときも、頭の中でつねに言い合いが起こっていた。毎日うんざりしたけど、それでも仕事はちゃんとやった。学生のときと違って、お金をもらっているっていうことがプロ意識をもたせていたんだと思う。

 

そんなこんなで数年たった。けんかの毎日だったけど、勝敗が決したみたい。

 

どっちが勝ったかって?

「研究者になりたいよ!」って言い出したやつだったみたい。

 

それから僕は転職活動を始めた。

 

ラボマネをしていた数年間で、結婚もして、子供もひとりできた。

簡単には動けない立場になってしまっていた。

 

でも転職活動した。

研究者を目指して。

 

これが、僕の転職を決めた理由だ。

 

民間企業で研究職のポジションをゲットした方法は、また次回にでも紹介するね。

 

今日はこの辺で!